6月29日に第108回労働政策審議会が開催されました。主な内容は以下の通りとなります。
①法定雇用率の引き上げに関する検討について
•法定雇用率制度は、雇用管理の改善を評価するなど、雇用の量から雇用の質を評価する制度へと展開する段階にきている。
•引上げの率・時期を検討する際には、複数の指標を総合的に勘案して決定していく仕組みとするべき。
②雇用率制度における就労継続支援A型事業所の利用者の評価について
•就労継続支援A型事業所の利用者の数は、算定式から除外し、併せて、調整金、報奨金、納付金の対象から外すことを検討するべき。
•雇用率制度からA型を外して、企業の障害者雇用の実態を改めて見た上で、今後の対策を考えていくことが必要。
•A型の位置付けを検討する必要。一般就労の場面で法定雇用率を議論するときに、一般企業とA型を同列で議論するのは適切ではない。
•中小企業がA型に代替されているのではないか。A型が中小企業に与える影響も見ていくことが必要。
•A型は雇用への移行を促進していない面もあるのではないか。A型の増加は、中小企業の障害者雇用が進まない一因ではないか。
③精神障害者に関する雇用率のカウントについて
(短時間労働者に関するカウントの特例について)
•週20時間以上30時間未満の場合が精神障害者の職場定着率が一番高いため、令和5年4月以降も特例措置を維持するべき。
•精神障害に限らず、他の障害についても特例措置を検討するべき 。
•本人の意向に沿って勤務時間を増減出来るシステムが必要。一方で、短時間勤務はフルタイムより企業の負担が少ないということでもないので、短時間就労者の雇用について、3年に限らないなどの措置や、企業の真摯な取組みを雇用率制度等において評価することが重要。
(重度の取扱いについて)
•現在、身体障害や知的障害には重度があるので、格差をなくすことが重要であり、精神障害にも重度を作るべき。
(その他)
•ノウハウがないため精神障害者の採用を躊躇する企業が多い。精神障害と企業を支援する施策や、好事例の情報共有をするべき。
④対象障害者の範囲について
◇手帳を所持しない者の取扱いについて
(総論)
•働きづらさを感じる労働者が、障害者手帳の有無によらず働き続けられる職場環境が重要。
•法定雇用率の対象者は、手帳所持者に限定するべき。
•手帳所持者だったが、医師の判断で更新されず不所持者となった者についても引き続き実雇用率に算定するべき。
•手帳が取得できない者は、個別の就労困難性を判断が重要。その上で、実雇用率算定の対象とするような取り扱いが必要ではないか。
(精神障害者について)
•自立支援医療受給者証は生活能力等に関する記載欄はないため、受給者証のみでは障害の有無は不明であり、雇用率制度に活用すると目的外使用になるというのが原則。一方、受給者証の「重度かつ継続」の対象者に対しては継続した支援が必要ということになるの
で、雇用する職場の負担を勘案し、雇用率のカウントに入れても良いのではないか。
•精神障害者の就労促進の観点から、手帳不所持者も雇用率の対象に含めるべきだが、中小企業を取り巻く厳しい状況を踏まえ、法定雇用率は引き
上げるべきでない。
•精神障害者は、手帳所持者のみを雇用率の対象者とすることで良い。受給者証を持っていること(精神疾患がある、通院していること)がイコール精神障害ではない。
•手帳を保有していなくても、受給者証、就労パスポート、ジョブカード等の書類を確認することにより、雇用率のカウントに入れても良い。
(難病患者について)
• 難病患者について、手帳の対象にならないケースに対応していくための評価スケールの開発を検討するべき。